サプライチェーン上のどの企業も特許紛争に巻き込まれる可能性があります
Patent infringement in automotive industry

つい最近(2021年10月)、日本製鉄が、鉄鋼製品に関する自社の特許権を侵害しているとして、中国の鉄鋼企業に加えて、顧客でもあるトヨタを訴えたことで多くの人を驚かせました(*1)。そして今、日本製鉄がさらに三井物産も訴えたことでさらに驚かせています(*2)。なぜなら、三井物産は関連製品を製造していないからです。実は、特許法は、侵害品を「製造」する行為だけでなく、「販売」したり「使用」したりする行為も侵害としています。そのため、特許権者は[…]

元ソフトバンク社員が転職先に持ち出した技術情報は営業秘密だったのか?
Confidentiality management

ソフトバンク元社員が、ソフトバンクが持つ超高速・大容量通信規格「5G」の技術情報を、転職先の楽天モバイルに不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反の罪に問われています。その初公判が12月7日に東京地裁で行われました。報道によれば、元社員は、「持ち出した情報は営業秘密と認識していなかった」と述べているそうです。持ち出した情報にはパスワードが設定されておらず、また他社にとって利用価値もなかったとも述べているようです。不正競争防止法で保護される営業秘密に該当するためには、その情報が以下の3つの要件を満たす必要があります。[…]

アルゴリズムの変更に伴う責任
Algorithm

今や私たちの生活のいたるところでアルゴリズムが動いています。Amazonで私の商品購入履歴に基づいた商品を推薦してくるくらいなら大した問題はありませんが、個人の信用力や店の評価などについては、そのスコアによっては深刻な影響を与える場合もあります。昨年の5月、韓国料理店チェーンが、飲食店情報サイの運営会社を東京地裁に訴えました。サイト運営会社が飲食店評価のアルゴリズムを変更したことで、同チェーン店の評価が下がり、売上高も急減したからです。チェーン店側は、これはチェーン店を不当に差別する独占禁止法に違反する行為だと主張しました。[…]

なぜ他社の商標をハッシュタグに使いたくなるのか?
Hashtag

SNSでよく使われるハッシュタグ。フリマアプリ「メルカリ」で、自分の販売サイトに、他社のブランド名(商標)をキーワードにしたハッシュタグを付けて自分の商品を販売している人がいました。このようなハッシュタグの使い方は商標権の侵害になると、先月、裁判所が判断しました。大阪地裁判決 令和2年(ワ)第8061号 (令和3年9月27日)その人はなぜそんなことをしたのでしょうか?他社のブランドの顧客吸引力への「ただ乗り」あるブランド名をキーワードにしたハッシュタグを付けておくと、他のユーザーがそのブランド名を検索すると […]

ユニクロの特許紛争事件に見る中小企業による特許の活用の困難さ
UNIQLO checkout machine

2021年5月20日、ユニクロを展開するファーストリテイリング社は、IT企業のアスタリスク社と争っていた特許訴訟に敗訴したとのニュースが 伝えられました。 アスタリスク社は、 セルフレジに使用されている商品のタグの情報を読み取る技術の特許 (JP6469758) を保有しており、ファーストリテイリング社に対して、ユニクロで使用しているセルフレジについて、ライセンス料の支払うよう要求していました。しかし、 報道によれば、ファーストリテイリング社は、この特許は無効にされるべきものだから、ゼロ円でのライセンス提供をアスタリスク社に要求していたとのことです。

本家「無印良品」、中国での商標権侵害訴訟で中国企業に敗訴
MUJI trademark

日本の小売企業である良品計画は、「無印良品」のブランドで様々な家庭用品や消費財を販売していますが、中国での商標権侵害訴訟で敗訴しました。 報道によれば、2019年12月11日、北京市高級人民法院は、良品計画に対して、中国企業への60万元(約1,000万円)の損害賠償を命じました。 日本で「無印良品」ブランドが誕生したのは1980年で、良品計画は1990年に無印良品の事業を開始しました (良品計画のウェブサイト)。 しかし、良品計画が中国市場に進出する前の2005年に、中国企業がシーツやベッドカバーなどの商品(商標法上の商品区分:第24類)に「無印良品」(中国語で)の商標を中国で登録していました。

カプコン、コーエーテクモゲームスに対する特許侵害訴訟で高額賠償を獲得
Battle of Game companies

この事件では、カプコンは、コーエーテクモのアクションゲームの「三國無双」と「戦国無双」、ホラーゲームの「零」がカプコンの2つの特許(特許第3350773号と特許第3295771号)を侵害していると主張していました。特許第3350773号は、シリーズの前作のゲームデータをユーザーが入力すると特典(キャラクターの追加など)を獲得できる機能に関するものです。また、特許第3295771号は、ゲーム中の特定のシーンでゲームコントローラを振動させる機能に関するものです。

Japanese courts slow to adopt information technologies
Web meeting

Finally, Japan’s courts are going to use information technologies for proceedings. Despite widespread use of IT in daily life, we have been required to conduct paper-based procedures and go to court for a brief preparatory proceeding. It would be welcome to improve this situation, but it’s too slow. The reported rough schedule is as follows.  Arrangement of Issues using web conferencing in some courts: Around February 2020 Submission of briefs using cloud services in some courts : Fiscal 2021 Online oral argument: Fiscal 2022 (after revision of Civil Procedure Law) Online filing of lawsuit: Not yet scheduled It has been pointed out that Japan is behind Singapore, China, South Korea […]

Japan IP High Court rules standard for calculating damages in patent infringement case
calculating damages

On June 7 2019, Japan Intellectual Property High Court ruled standard for calculating damages, especially deductible expenses, in a patent infringement case on carbonated pack cosmetics. Below is the summary of the decision. 1. Presumed damages Japanese patent law provides provisions to make it easier for patent holders to prove the amount of damages. One is to regard “the amount of profit earned by the infringer” as the amount of damages of the patent holder (Article 102, paragraph 2). Profit earned by the infringer Here, the court ruled that “the amount of profit earned by the infringer” is the marginal profit which is calculated by deducting “the expense which is […]

If blockchain existed then, Ultraman copyright disputes would have never happened

Ultraman, it’s one of Japan’s superheros like America’s Superman. A copyright holder of Ultraman, Tsuburaya Productions has been in dispute with Chinese production companies which produced and released a film featuring Ultraman in 2017. These Chinese companies now released another film featuring Ultraman. In response to this, Tsuburaya Productions made a statement on January 17 2019 that “we will take all necessary legal steps to protect our legal rights.” (The featured photo is a scene in the film trailer). This case is actually not so simple like typical Chinese copycat cases. The disputes began with a Thai businessman (Chaiyo Productions), who had friendship with a former president of Tsuburaya Productions, claiming […]