秘密情報を守りたいときは、その秘密情報を開示する相手と秘密保持契約書を締結すると思います。ただ、契約書を締結して満足するのではなく、秘密漏洩のリスクを減らすための運用にも気を配っていただきたいと思います。
相手が万一その秘密情報を漏洩してしまった場合、契約違反の責任を追及することはできます。しかし、その情報は他にも知られることになり、秘密の状態には戻すことはできません。ですから、それが本当に重要な情報なのであれば、その情報の漏洩リスクを減らすための方法を考えるべきです。
たとえば、コカ・コーラの原液は特別の部屋で製造されており、その原液をつくる社員しか入室することができません。しかも、原液製造にたずさわっている社員も、いくつもの行程に分かれたうちの一部分を担当することになるので、レシピそのものは知らないそうです。(*1)
また、ケンタッキーフライドチキンのハーブとスパイスの配合を知っているのは、世界でたったの3人。そして、スパイスは複数の工場で数種類ずつ配合され、店舗に向けて出荷され、各店舗でそれらをブレンドして初めて、11種類のハーブ&スパイスが完成されるそうです。(*2)
これらに共通するのは、情報へのアクセスを必要最小限の人に限定し、しかも、個々人は、その情報の一部分にしかアクセスできないようにして、厳格に秘密管理を行っていることです。これは、暗号技術の一つである秘密分散と似ています。
貴社の大切な秘密情報を守る一助となれば幸いです。
【参照】
*1 https://www.cocacola.co.jp/stories/sus_moriyama190416
*2 https://www.kfc.co.jp/about_kfc/commitment/secretrecipe.html