新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの状況において、治療薬やワクチンの開発が切望されています。しかし、このような治療法の開発には、特許が障害になるのではないかと危惧する声もあります。 そのため、コロナウイルス対策のための特許などの知的財産権を行使しないことを誓約あるいは宣言する動きがあります。例えば、米国のOpen COVID Pledge’ や日本のCOVID対策支援宣言’ です。
このパンデミックの影響で、日本政府は2020年4月7日に非常事態宣言を出し、経済活動がほぼ停止しました。5月25日に非常事態宣言が解除された後も、経済活動は制限されています。 そのため、多くの企業が被害を受けています。このような状況の中、政府は次のような宣言キャンペーンを開始しました。 ‘パートナーシップ構築宣言’と呼ぶものです。これは、大企業と中小企業の持続可能な提携を促進することを目的としています。要するに、大企業が中小企業や下請けを食い物にしないことを約束させるものです。
用意された宣言書のテンプレートには、以下の条項が含まれています。
価格決定方法
不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議します。
知的財産・ノウハウ
知的財産取引に関するガイドラインや契約書のひな形に基づいて取引を行い、片務的な秘密保持契約の締結、取引上の立場を利用したノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡などは求めません。
当たり前のことだと思われるかもしれません。しかし、以前の記事(下記参照)でお伝えしたように、日本では大企業が優位性を利用した下請けや中小企業との不公正な取引が問題になっています。ご興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
どれだけ多くの企業がこの宣言をするかはわかりません。しかし、将来的には、大企業が中小企業を犠牲にして危機を脱することができなくなるのは明らかでしょう。大企業と中小企業が公正なパートナーシップを築き、それぞれの強みを活かして、グローバル市場での存在感を取り戻していってくれることを願っています。
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