ライセンスされた特許の訂正の機会を確保するよう日本政府が検討中

日本政府は、特許訂正制度の改正に向けた検討を開始しました。特許訂正制度とは、特許権の無効主張の対する防衛手段として、特許権者が一定の範囲内で特許請求項や明細書、図面を訂正することができる制度です。 

現行法では、ライセンシーがいる場合、特許権者はライセンシーの同意なしには訂正を行うことができないことになっています。そのため、標準必須特許(SEP)を多くの企業にライセンスしているような場合には、訂正を行うにはすべてのライセンシーの同意を得なければなりません。また、特許を特定しない包括的なクロスライセンス契約を締結した場合には、契約の対象となるすべての特許について相手方の同意を得る必要があります。すべてのライセンシーから同意を得ることは現実的には難しいでしょう。その結果、誰かが無効審判を請求した場合、それに対応できずに特許権を失うことになりかねません。

このような問題を考慮して、政府は特許法を改正して、非独占的なライセンシーからの同意を得る必要がないようにすることを提案しています。

現在の状況での解決策は、ライセンス契約でライセンシーから事前の同意を得ておくことですが、このような問題を考慮していない可能性があります。なぜなら、米国、ドイツ、中国などのように、このような制約が設けられていない国もあるからです。念のため、あなたが使っている使用許諾契約書を見直してみてはいかがでしょうか。 

参照: 2020年5月13日の特許制度小委員会で配布された資料

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