アイデア資本主義の下では特許が重要

「アイデア資本主義」ー 最近読んだ、日本人の文化人類学者大川内直子氏の著書の題名です。

著者は、資本主義の歴史をフロンティアの変遷という視点から振り返ります。そして、資本主義が伝統的なフロンティアをほとんど食いつぶした現在、新しいフロンティアがアイデアの領域であり、アイデアを生み出す人のアタマの中が、資本主義にとってのフロンティアであると言います。そして、その新しいフロンティアに資本が集まるようになっていると。

私は、まさに、この領域に携わってきました。

前職のインテレクチュアルベンチャーズの発明開発ファンドでは、世界の研究者・技術者・発明家のネットワークを構築し、価値ある課題を特定し、その課題を解決するためのアイデアを募集し、優れたアイデアを購入し、それを特許化して、企業にライセンスするというものでした。まさに、アイデアまたは頭脳に投資していたのです。

特許は、アイデア(特に技術的なアイデア)を取引するための媒体です。そのアイデアが特許で守られているからこそ、購入する価値があるのです。

このトレンドを、政府や企業は理解し、行動しなければなりません。優れたアイデアを生み出す個人が尊敬され、活躍できる環境を用意する必要があります。そして、素晴らしいアイデアが世界中で取引される仕組みを構築する必要があります。

その仕組みについては、IPweプラットフォームに期待しています。IPweは、IBMと協力して、AIやブロックチェーン、スマートコントラクトという最新の技術を使ってグローバルな特許取引プラットフォームを構築しています。

日本の企業や研究機関がこのようなプラットフォームを使って、海外の企業や研究機関と交流し、たくさんのアイデアが取引されるようになったときには、日本の競争力も高まっていくことを期待しています。

そのような日がくることを期待しながら、これからも、素晴らしいアイデアを持っている企業を応援していきたいと思っています。