サプライチェーン上のどの企業も特許紛争に巻き込まれる可能性があります

つい最近(2021年10月)、日本製鉄が、鉄鋼製品に関する自社の特許権を侵害しているとして、中国の鉄鋼企業に加えて、顧客でもあるトヨタを訴えたことで多くの人を驚かせました(*1)。そして今、日本製鉄がさらに三井物産も訴えたことでさらに驚かせています(*2)。なぜなら、三井物産は関連製品を製造していないからです。

実は、特許法は、侵害品を「製造」する行為だけでなく、「販売」したり「使用」したりする行為も侵害としています。そのため、特許権者は、侵害品の製造者、卸売業者、小売業者、またこれら全てに対しても、特許権の行使(差止請求や損害賠償請求)ができるということになります。つまり、サプライチェーンのいずれの企業も特許侵害の紛争に巻き込まれる可能性があるのです。

ですから、他社製品を取り扱う場合には、その製品が第三者の知的財産権を侵害していないかどうかについても注意を払う必要があります。

参照:

*1 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-14/R0YELQDWX2PY01

*2 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-23/R4K9M1T1UM0Y01