経産省「標準必須特許のライセンスにおける誠実交渉指針」を策定

標準必須特許(SEP)に関わる紛争が世界各国で発生しており、今後、異業種間でのSEP紛争が増加することが予想されます。そのため、日本政府(経済産業省)は、SEPのライセンス交渉において、特許権者と実施者がとるべき望ましい対応を示しました(*1)。

以前(2018年)には、特許庁が「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を公表しています(*2)。特許庁の手引きは、国内外の裁判例、競争当局の判断、ライセンス実務をもとに、ライセンス交渉に関する論点を客観的にまとめたものだったのに対し、今回の経済産業省の文書は、日本としての誠実交渉の規範を示したものと説明されています。

今回の指針には以下のような内容が含まれています。

  1. 特許権者がライセンスのオファーをする際には、特許請求項と規格を構成要件単位で対応させたクレームチャートやFRAND宣言がなされていることを示す資料などを提示すべきである。 
  2. そのようなオファーを受けた実施者は、FRAND条件でライセンスを受ける意思を有する旨を表明すべきである。ただし、ライセンス交渉の過程で対象特許の必須性・有効性・侵害該当性を争うことを留保することは差し支えない。
  3. 実施者がFRAND条件での契約締結の意思を表明した場合は、特許権者は、ロイヤルティを含む具体的なライセンス条件を提示すべきである。その際、特許権者は、当該ライセンス条件がFRANDであることを客観的に理解できるように証拠を示して説明すべきである。
  4. そのライセンス条件を受け入れない場合は、実施者は、具体的なライセンス条件を対案として提示すべきである。そして、その対案がFRANDであることを客観的に理解できるように証拠を示して説明すべきである。

このガイドラインは、法的拘束力はありませんが、今後、多くの日本企業がこのガイドラインに沿って交渉していくことが予想されます。これにより、日本企業が対応に悩むことなく、交渉が多少なりとも円滑に進むようになることが期待されます。